2023年6月27日、高校29期寺本(旧姓 有山)裕子さんのバー兼音楽事務所の「ZZ BAR」を訪ね、お話を伺いました。
昭和世代には懐かしい千日前味園ビルの2階にある店内には 3000枚を超えるレコードやレトロなアンプ、スピーカーや蓄音機、数10種類のウイスキーのボトルが並び、古き良き時代の香り漂う、落ち着いたお店です。
Q:音楽の道に進んだのはどうしてですか?
A:元々家族が音楽好きで、父母はジャズ、兄はロック、姉はシャンソンと家の中には常に洋楽があふれていました。自然と音楽になじみ深くなり、高校の時にはフォークギターで弾き語りをしていました。大学に入り、真剣にロックをしたいと思い、学生大会で大演説をぶち、フォークロック愛好会を結成したものの、1年で分裂して退会しました。
Q:それからどうされましたか?
A:その後は、学外のアマチュアバンドを渡り歩きながらの活動を続けていましたが、大学を卒業して高校の国語教師となり、バンド活動との両立の日々の中、結婚、出産、ここで音楽活動より少し離れました。その後、私学の非常勤講師として子育てをしながら働くも、やっぱり音楽をやりたいという気持ちが抑えきれずに、30歳の時、音楽スクールに入学しました。
Q:なぜまたスクールに
A:ジャズを学び直して、ミュージシャンとして生きたいという強い思いからです。息子は4歳になったばかりで、昼は予備校講師として働き、夕方からはスクールへ、睡眠時間4~5時間で頑張りました。通った音楽スクールには、高津高校の校歌を作曲された、ピアニストの大塚善章先生がおられて、先生の弟子の一人とペアを組み、32歳でプロのジャズシンガーとして、活動開始しました。
Q:プロになられてからは
A:ジャズクラブやキャバレー、ライブハウス、イベントの野外ステージなど、様々な場所で歌ってきました。30代半ばには、ブルースバンドを結成、ジャズの世界とは違う人脈が広がり、FMラジオに出演したり、イベントを企画したりするうちに、プロデュース業にも魅力を感じ、48歳で「Rose Sound Office」という音楽事務所を設立しました。音楽教室の運営、イベント企画、CD制作などをしています。シンガーとしては、ここ10年くらいはジャズから離れ、パートナーのコージ(ギタリスト)とのデュオ「Kozy & Rose」で、ブルース、ソウル、R&B、ポップス、なんでもありのライブを続けています。音楽を通じて出会ったたくさんの人たちが、私の何よりの財産です。
Q:ZZ BAR をはじめたのは?
A:息子が12歳の時、離婚して自分で開いた喫茶店で、今のパートナーのコージさんと出会いました。2006年の8月にZZ BARをオープン、場所は今と同じ味園ビルですが、最初はカウンターのみのお店で「いいウイスキーといい音楽」をコンセプトに団塊の世代の方たちをターゲットにしたお店でしたが、コロナでの空白の3年があり、最近では孫のような若い子や、訪日外国人の方々もよく来て頂き、客層が変わっての新しい出会いが楽しいです。
お店の中は昭和の雰囲気で「いいウイスキーといい音楽があふれています」 |
Q:高校時代の思い出は?
A:クラス仲間3人でサッカー部のマネージャーに誘われ、鬼マネージャーと言われてました。また国語科の福間先生が「君は詩の才能がある!」と言って、放課後に何度か現代詩の添削指導をしてくださいました。そこでの「詩のことばは書いた瞬間に書き手を離れ、読み手のものになる」との教えは、今シンガーとして歌(ことば)を伝えていく私の覚悟の礎です。
Q:今の同期とのつながりは?
A:2006 年にオープンした時から、29期の仲間にはよく来てもらい、2013年にお店を大きくした時には、本当に皆にサポートしてもらいました。今ここにある椅子やテーブルもそうで、感謝しています。これからも、このつながりは人生の中で大切なものです。
インタビュー後の感想
10代の頃からこんな音楽への情熱があったのかと驚き、かつその強さに胸を打たれました。生きていくのに、心が飢えるほうが嫌! 心を満たしてくれるものが音楽! 音楽の力で人の心を癒し、楽しんでもらう。そのために生きることが自分の使命だと言う裕子さん。これからも店を訪れる人々の心の拠り所の一つでいてくださいね!
余談
月に一度のライブでは、Kozy&Rose で演奏。毎回様々な音楽仲間がゲスト参加してくれる楽しい時間だそうです。年中無休で18時から24時までの営業(ライブツアーに出るときは臨時休業)です。
「ZZ BAR」
大阪市中央区千日前2-3-9 味園ビル2F
Tel.06-6643-0154
年中無休 18:00~24:00