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2022.12.21 09:37 お店訪問

卒業生のお店訪問 「柏屋」 松尾(伊東)克子さん(高36期)

2022年12月1日(木) 高校36期 松尾(伊東)克子さんが女将を営まれる「日本料理 柏屋」の千里山本店を訪ね、お話を伺いました。

阪急千里山線の関大前駅から徒歩10分の閑静な住宅街にたたずむ、「柏屋」は、ご主人の松尾英明さんが総料理長を務めておられます。なんとミシュラン三ツ星を13年間連続受賞されています。ミシュランガイド大阪2023で三ツ星を獲得したお店はわずか3軒です。

 

Q:ミシュラン三ツ星を13年間連続受賞されていますが、何か秘訣があるのでしょうか?
A:特に秘訣はありません。2009年「ミシュランガイド京都・大阪2010」にて二つ星、翌年には三ツ星を頂戴しました。以来ずっと三ツ星を維持させてもらってます。三ツ星で変わったのは、以前にも増してお客様が最高のものを求めるということです。
三ツ星を頂戴しても、今まで通りのスタンスで、ふつうのことをふつうにする努力をすることが大切だと思います。それが「柏屋スタンダード」になれば良いとスタッフにも話しています。
この歳になり、気が付いたことは、自分の思う料理人としての仕事は、相手に合わせてはじめて成り立つということです。相手とは、食材、季節、お客様など全ての事象です。若いときから美味しいものを出しているつもりでしたが、ただ料理を作るだけではダメと思います。料理一品一品を通して、季節をどのように楽しんでいただけるかを大事にしています。

Q:「柏屋スタンダード」のおもてなしとは?
A:お客様からご予約をいただいた時から、もてなしは始まっていると考えています。
ご予約の内容を伺い、献立や器に始まり、部屋のしつらえを準備します。お客様のご用向きに合った時間と空間を調えるのが私たちの役目。食事を通して無意識に感じる幸福感や、言葉には表せない心地よさを大切にしたいのです。
おなかが満たされた、おいしかった、珍しいものを食べた、それだけでは「また来たい」と思っていただけないからです。
この店でしか味わえない、体験できない価値を提供していこうと、調理場もサービスもひとつになって、あらゆることに取り組んでいます。

 


Q:ご主人のお料理のバックボーンは?
A:大学生の頃、父から「お茶の稽古に行ってこい」と言われ、お茶を習いに行き、茶道の世界観に魅入ってしまいました。この美しい世界の傍らで生きたいと思うようになり、後に料理人となる決意に繋がったと確信しています。

Q:克子さんが女将さんになったきっかけは?
A:最初は全く考えてませんでした。主人とは同じ大学の同じクラブの先輩後輩で、卒業してからお付き合いを始めました。主人はそのころ、お料理の修行中でしたが、女将になろうとは思っていなかった私は、OLとして働いており、結婚後に初めてお店で働き始めました。その頃は義母が女将で、いつも相手によりそった接客をしていました。私は若いころは何も分からず自分のことだけ考えていたように思いますが、柏屋で義母の後について働くことで、いつのまにか義母と同じことをしている自分がいました。未だに義母のようにはなれませんが。様々な事情があり、義母から仕事を引き継ぎました。2010年頃のことです。

Q:お二人で、今後お店をどうしていきたいと思っていますか?
A:私たちは柏屋スタンダードとしてプロのサービスを伝えていきたいと思っています。美味しい料理をだすのは当たり前のことです。フランス料理ではソムリエのようなサービス業が認知されていますが、まだまだ日本食はそうではありません。これまで私たちは、料理を通じて、いろんな人に出会い、いろんな経験をすることができました。やってきたことを守っていきたいというよりも、生かしてもらえたことに対する恩返しをしていきたいと思っています。

Q: 高津高校時代の思い出、高津同窓生とのつながりについて
A:水泳部でした。1年生の時は部員でしたが、2年生からマネージャーになりました。
水泳部は毎年年末に同級生が集まっていますが、お店が忙しい時期なので残念ですが参加できていません。でも、数年前に36期同窓会があり、それには参加し、とても懐かしく楽しい時間を過ごせました。それから、同級生がお店に来てくれたり、お店を紹介してくれたりして、とても嬉しく思っています


インタビュー後の感想
お店やお料理のことを語っておられるときのお二人の心のこもった話し方、その話し方に引き込まれていきました。
おいしい料理を提供するだけではなく、このお店でなければ体験できない価値を提供していきたいという思いを、そのお話のなかに強く感じました。茶道に魅せられたご主人が、世界に誇れる日本の文化であるおもてなしを大切にされているそんな素晴らしい日本食のお店でした。

余談
インタビューに伺った際、お抹茶とお茶菓子を出してくださいました。いただくタイミングで少し時間が経ってしまったら、温かいお抹茶を持ってきて交換してくださる心遣いに感動し、また、お茶菓子の季節を巡る小さな旅を楽しませていただきました。
お手洗いでは、手を洗った後に使うように、ふわふわのミニタオルが綺麗に畳まれておいてあったところにもおもてなしを感じました。


「日本料理 柏屋」千里山本店
吹田市千里山西2-5-18
06-6386-2234
柏屋HP
https://jp-kashiwaya.com/


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