2023年9月13日(水)18時15分から、第13回クリエイトラボ・セミナーが開催されました。今回は以下の内容です。
■講師:稲垣 克彦(いながき かつひこ)高校40期
旭川医科大学 医学部 准教授
■タイトル:「科学者として生きる」
■講師略歴
1988年大阪府立高津高校卒業後北海道大学、同大学院で学位を得て1997年より固体物理学の実験、特に低次元電子系の電気伝導現象について研究されています。現職は旭川医科大学医学部一般教養等物理学研究室に所属して、未来の医者に物理学の概略を教える仕事を主にされながらも研究生活を続けておられます。本業には直接関連していなかった、近年の排他的な論調に対して科学者として発信する必要があると考えられ、『解放社会学研究』という社会学の学術誌に、『DNA解析と「アイヌ民族否定論」:歴史修正主義者による先住民族史への干渉』と題した論文を、査読を経て発表されました。
⇒https://amcor.asahikawa-med.ac.jp/modules/xoonips/detail.php?id=2022060201
これが反響を呼び、毎日新聞(京都版)2022年7月27日に、論文がその背景とともに紹介されるに至りました。
⇒「日本人の起源」再考(毎日新聞有料記事)
■講演内容:自己紹介を絡めて、普通の学生が科学者として別の生き方に至るプロセスや、論文の作成とそれが日の目を見るプロセスを丁寧に説明していただけた。また身近な韓国人・朝鮮人差別、ひいてはアイヌ民族に対するレイシズムに真っ向から向き合い、その原著論文を読み込む。そこから意図的な情報の切り取りによる情報操作を見抜き、自ら論文の中でアイヌ民族否定論の誤りを証明している。差別を憎む熱い心と科学者の冷静な判断で世に問いかける姿勢は、高津生の社会に出てからの生き方に大いに訴えるものがあったと思う。
同窓会会員専用サイトにてセミナーのアーカイブを観ることができます。