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2015.04.09 17:21

平成27年度 卒業証書授与式 校長祝辞

校長祝辞吹く風にもほのかに春の香が漂う、この佳き日に、栄えある卒業証書を授与いたしました350人の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 ご列席いただきました保護者の皆様、お子様のご卒業、本当におめでとうございます。入学式の日に皆様からお預かりしたお子様たちは、ご覧のとおり立派に成長し、晴れの日を迎えました。

思い返せば、誕生から今日まで、時にご苦労もあったものと拝察いたします。深い愛情を持ち、お子様を育まれてこられましたことに、あらためて敬意を表しますとともに、本校教職員を代表して心からお祝い申しあげます。

また、本日は、公私ともご多用の中、多数のご来賓にご臨席を賜りました。
日頃から本校の教育にご理解とご協力を賜りますとともに、卒業生の門出に花を添え、ご祝福いただき、誠にありがとうございます。
高いところからではございますが、衷心より御礼申しあげます。

 さて、卒業生の皆さん、3年前、期待に胸を膨らませて本校に入学した皆さんも、高校生活を立派に終え、本日、卒業の日を迎えました。

 「自由と創造」「日進日新」の校風・校是を胸に、皆さんは、本校の輝かしい歴史と伝統を受け継ぎ、グローバルリーダーズハイスクール及びスーパーサイエンスハイスクールの生徒として、「高い志」と夢をもち,新しい様々な取組みに、積極的に参加し、成果を出して、後輩たちに範を示してくれました。

また、皆さんは、二度とない高校時代をこの高津高校で過ごし、たくさんの先輩や後輩、友達や先生と出会ったことと思います。私も皆さんから、1年という短い時間でしたが、たくさんの感動をもらいました。

「都市と環境」をテーマにスーパーサイエンス事業として取り組んだ、課題研究発表会や、東京・九州へのサイエンスツアー、韓国の高校生とともに共同河川調査を行い、国際会議「リトル・ラムサール」に参加して、審査員特別賞を受賞されたとも聞いています。

記念祭では皆さん一人ひとりのみなぎるパワーと、それらが見事に重なり合ったチームの力を見せてもらいました。
競技中は、常に応援席で、大きな声でエールと拍手を送って応援し、勝敗に関係なく温かく迎える姿、仲間を思いやる気持ちに感動しました。

部活動においても、先輩として多くの後輩を支え、導き、近畿大会や全国大会の夢を追いかけ、互いに競い合い、高め合ってくれました。

証書授与

その他にも、支援学校との交流、高齢者とともに音楽を楽しんだ高校生フェスティバル、各クラブが数々のボランティア活動に取り組んだ高津キャラバン隊などなど、数えあげればきりがありません。

一方で、進学校ゆえに日々の勉強の重圧や自分の進路先の決定に、最後まで悩み続けた人も多かったことでしょう。

このような日々の学習活動や部活動、学校行事での楽しかったこと、苦しかったこと、つらかったことなど様々な出来事が、高校時代の貴重な思い出として、きっといつまでも心に深く刻まれるにちがいありません。

皆さんと出会えたことをとてもうれしく思います。本当にありがとう。

そんな皆さんへの感謝の気持ちとはなむけの思いを込めて、2つのことを伝えたいと思います。

1つめは、小惑星探査機「ハヤブサ」にまつわる話です。
ご存知のとおり、初代ハヤブサは、皆さんが小学校に入学された年(2003年)に打ち上げられ、2005年夏に小惑星イトカワに到達。2010年6月に60億?kmの旅を終え、世界で初めて地球重力圏外にある天体のサンプル・リターンに成功しました。
帰還時に大きなトラブルに見舞われ、一時は消息も絶え心配されましたが、多くの科学者があきらめることなく帰還作業を継続させ、3年遅れで南オーストラリアの砂漠に戻った時には大きな感動とともに報じられました。
映画にもなったので、多くの方の記憶に残っていることと思います。
そして、その後継機としてハヤブサ2が、昨年12月に打ち上げられました。
今、ハヤブサ2は、地球から約3,600万キロを飛んでいるそうです。
今回、ハヤブサ2がめざすのは、C型小惑星と呼ばれる炭素でできた小惑星で、有機物が存在する可能性があり、地球の生命の起源との関連が計り知れる可能性もあると言われています。
順調に計画が進めば、今から3年後の2018年に 小惑星に到着し、東京オリンピック・パラリンピックが予定されている2020年に新たなサンプルを持って地球に帰還する予定です。
地球ができて50億年、宇宙ができて137億年。有機物はどのようにして生成され、生物になったのか。そのサンプルが語ってくれるかもしれません。

皆さんは、23歳、大学を出たころでしょうか。そんな光景が、皆さんを待っています。
このハヤブサ計画の元プロジェクトマネージャーの川口淳一郎工学博士が、誰もが実現不可能と考えていたこの計画を考え始めた30年前を振り返って、こんなことをおっしゃっています。
中国の古典「戦国策」に「愚者は成事に闇く、知者は未萌に見る」という言葉があります。
賢者は、芽生える前の見えないくらいの兆しにも未来を見るというのです。
石坂洋二郎の小説「若い人」にも「小さな完成よりも、あなたの孕んでいる未完成のほうが、はるかに大きなものがある」という一説があります。
勇気を発揮する際に、不完全であることを恐れる必要はありません。研究とは、成果があらかじめ約束されているものではありません。学校で学習できるのは、「How」すなわち、やり方だけであって、その先は自分で切り拓かなければ、新しいことは発見できないのです。

アポロ計画の宇宙飛行士ジョン・ヤングは、「変えるにはリスクが伴う。変えなければより大きなリスクが伴う」と言いました。 
一人ひとりがこんな思いを持ち、行動すれば、地球社会の未来は明るいと信じています。

2つめは、皆さんの入学からの3年間を振り返ってみて気づいたことです。
キーワードは「ノーベル賞」です。
皆さんが入学した3年前、さまざまな組織の細胞になる能力がある「iPS細胞」を開発した山中伸弥教授がノーベル医学生理学賞を授与されました。
そして、皆さんが巣立つ今年度は、青色LEDの開発に関わられた赤崎勇、天野浩、中村修二の3人の教授がノーベル物理学賞を受賞され、ノーベル平和賞には史上最年少で17歳のパキスタンのマララ・ユスフザイさんらが選ばれました。
年齢の近い人の受賞ということで、皆さんも感じるところがあったと思いますが、ノーベル賞を受賞された多くの方が異口同音におっしゃるのは「私は、大したことはしていない。周りの皆さんの支援・協力のおかげで、誰もができる小さなことを、誰もできないくらい積み重ねることができただけだ」ということです。

皆さん全員がノーベル賞を受賞されることは、さすがに困難だと思いますが、周りへの感謝の気持ちを忘れず、「誰もができる小さなことを、誰もできないくらい積み重ね」、それぞれの人生でのノーベル賞を、ぜひ、めざしてもらいたいと思います。

さて、今、社会は大きな変化を遂げようとしています。
経済活動の在り方や人々の生活スタイル、家族の在り方や人間関係までもが急速に変化しています。
また、地球温暖化や大気・海洋汚染のような人類全体・生物全体に影響を及ぼすような問題もますます深刻になっています。

さらに、残念ながら、国際紛争やテロに関する問題もあります。
まさに、皆さんが育んできた「グローバル」な観点が必要とされる所以です。
そして、このように大きく、急速な変化の中、皆さんの未来は、必ずしも順風満帆な時だけではないでしょう。挫折に直面することもあるかもしれません。
そんな時には、気軽に「母校」を訪ねてください。高津高校は、皆さんを心から歓迎します。

最後になりましたが、本日、ご多用中にも関わりませず、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様、並びに保護者の皆様、今後とも卒業生に対するご支援をいただきますよう、

また併せて、本校が社会的存在として、その役割を全うし、末永く一層の発展を遂げられますよう、重ねてご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申しあげます。

結びに、卒業生の皆さんの幸多き前途を祈念して、式辞といたします。

平成27年3月5日
大阪府立高津高等学校 校長 村田 徹

卒業式


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