銭屋佐兵衛(ぜにやさへえ)家【通称:銭佐、明治以降は逸身[いつみ]家)】は、江戸時代、大坂の島之内石灰町(いしばいまち)および船場備後町(びんごまち)に本拠をおく両替商でした。
明治になって逸身銀行となりましたが、明治34年(1901)に破産しました。
銭佐は、三井・鴻池などには及ばないものの、長者番付に載るほどの大店(おおだな)でした。
約10年前に逸身家に残された古文書が見つかり(逸身喜一郎氏所蔵、現在は大阪歴史博物館寄託)、東京大学文学部日本史学研究室を中心とした「逸身家文書研究会」により、関連史料も含めて調査・研究が進められました。その成果は以下の図書『両替商 銭屋佐兵衛』(東京大学出版会)として刊行されます。
「両替商 銭屋佐兵衛」東京大学出版会 発行
《内容紹介》
近世には両替商として、明治以降は逸身銀行として、大阪の金融界で活躍した逸身家に遺された史料群『逸身家文書』を読み解く。文書の所蔵者であり西洋古典学者として著名な逸身喜一郎氏を中心に編纂された評伝編(第1巻「四代佐兵衛評伝」:390頁)と,日本史研究者による個別事例の研究編(第2巻「逸身家文書研究」:378頁)からなる学際的アプローチ。(分売不可)
逸身 喜一郎 編
吉田 伸之 編
ISBN978-4-13-026237-8, 発売日:2014年11月10日, 判型:A5, 770頁
税込12960円/本体12000円
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また、「逸身家文書研究会」による調査・研究ではプロソポグラフィの手法(個々の人物の階層や家柄、婚姻関係、出身地域に着目し、その人間関係から歴史を読み解こうとする方法)により、銭佐に生まれ、暮らし、働き、あるいは出入りしていた200人以上もの人びとの姿が浮かび上がり、経営はもとより銭佐の全体像が明らかになってきました。
今回、論集の刊行に合わせて、その成果をおもに江戸時代の終わりから明治初年に当主だった4代佐兵衛の時代に焦点をあてて、古文書を読み解く面白さとともに紹介する展示会を開催します。
大阪歴史博物館 第96回 特集展示
「両替商 銭屋佐兵衛」◆開催日程: 平成26年11月5日(水)~平成27年1月5日(月)
注)火曜日および12月28日(日)~1月4日(日)休館
ただし、12月23日(火・祝)は開館、12月24日(水)は休館
◆会場 :大阪歴史博物館 8階 特集展示室
◆時間 :9時30分~17時(金曜は20時まで) ※入館は閉館30分前まで
◆観覧料 :大人 600円、 高校生・大学生 400円、 中学生以下 無料
◆期間中の関連行事 ⇒詳細はこちら
シンポジウム「両替商 銭谷佐兵衛」
・日時: 11月23日(日・祝) 午後1時~午後4時30分 (12時30分受付開始)
・会場: 大阪歴史博物館 4階 講堂
・定員: 250名(当日先着順)
・参加費: 500円
現地見学会「銭佐の跡を歩く」
・日時: 12月6日(土)午後1時~午後4時
・場所: 逸身家墓所(妙徳寺)、逸身家本宅跡など(いずれも大阪市中央区)
・定員: 30名 (事前申し込み、応募者多数の場合は抽選)
・参加費: 500円 (保険代含む)
展示解説
・日時: 11月8日(土)、16日(日)、22日(土)、12月14日(日)、1月5日(月)
いずれも午後2時より45分程度
・会場: 大阪歴史博物館 8階 特集展示室