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2014.04.10 15:35

平成26年度 高津高校入学式 式辞

入学式 四月は、希望を乗せた春を運んできます。
 ただいま、入学を許可しました新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。高津高校を代表し、皆さんの入学を心から祝福し、歓迎いたします。

 保護者の皆様、お子様のご入学、本当におめでとうございます。皆様が手塩にかけて育ててこられたお子様が、三年後にはさらに逞しく成長していただけるよう、高津高校では教職員が一丸となって支えていくことを、まず、お約束させていただきます。

 また、本日は、公私とも何かとご多忙な中、大阪府教育委員会から高等学校課長 橋本光能様、本校同窓会副会長 浅田千鶴様 本校PTA副会長 中川哲也様をはじめ多くの皆様にご臨席を賜りました。

 日頃から本校の教育にご理解とご支援を賜りますとともに、新入生の門出に花を添え、ご祝福いただき、誠にありがとうございます。高いところからではございますが、心より御礼申しあげます。

 さて、新入生の皆さん。あらためて、おめでとう。
 本校は、大正7年(一九一八年)に、大阪府立の旧制第十一中学校として創立され、以来、大阪を代表する進学校として、九十五年の歴史と伝統を重ね、数多くの有為な人材を世に送り出しています。
現在も、文部科学省から「スーパーサイエンスハイスクール」として、また、大阪府教育委員会からは「進学指導特色校」の指定を受け、日々、深化を遂げているところです。

 皆さんの高校生活の幕開けにあたり、「自由と創造」、「日新日進(にっしん・にっしん/日にあらたなる者は、日に進むなり)」という本校の校是・根本精神について、私なりの解釈を話したいと思います。

 まず、自由について。
 「自由とは、自分勝手にふるまうことではない」ことは当然ですが、十八世紀の思想家 ルソーは「自由を放棄することは、人間としての資格を放棄することである。人間としての権利を放棄することである。すべてを放棄する人にとっては、いかなる補償もありえない」と言いました。
 芥川龍之介は「自由は山嶺の空気に似ている。どちらも弱い者には耐えることはできない」と言い、ガンジーは「間違いを犯す自由が含まれていないのであれば、自由は持つに値しない」という言葉を残しています。

 このような意味合いでの「自由」を真摯に受け止め、創造的な活動を行うことが高津の原点です。

 そして、創造とは、「過去と現在とを材料としながら新しい未来を発明する能力」という与謝野晶子さんの定義が分かりやすいでしょう。

 実際に創造的な活動を行う際に大切なこととしては、心理学者のユングは「創造は、外から与えられる知性ではなく、内から迫られる本能をして、為されている」と言い、スティーブ・ジョブズも「クリエイティブ担当者は、実は何もしていない。ただ見ていただけだ。そのうちに彼らは、過去の経験をつなぎ合わせ、新しいものを統合することができる。それが可能なのは、彼らがほかの人間より自分についてよく考えているからだ」と『自分』と深く向き合うことが創造につながると教えてくれます。

 そして、「創造」のために大切な心構えが、「日新日進」。
 いつもと変わりがないように見える川も、その流れを作っている水は一瞬一瞬変わっています。

 本当の創造をめざすには、人としての信念や主張は、しっかりと不動のものでなければなりませんが、余計なこだわりに縛られることなく、変わるべきは勇気を持って変えることで、自分が磨きあげられるということです。
 「創造し続けようと思う人間には、変化しかあり得ない。人生は変化であり、挑戦だ」とはジャズの巨匠マイルス・デイビスの言葉です。

 「自由と創造」「日新日進」。高津の魂であり、プライドです。皆さんの高校生活はこの2つの校是が、すべての活動の前提になります。常に心に留めておいてください。

 そのうえで、今、高津の一員となった皆さんに、もう一つ大切にしてもらいたいことがあります。
 それは、「受援力」という言葉であり、考え方です。受援力は、災害ボランティアに関わる文脈でよく使われる言葉で、一般に「支援を受ける力」と説明されます。
しかし、単純に「甘え上手」と言うだけではありません。
 この言葉に込められた最も大切な意味は、この言葉が「支援を受ける側」だけに注目したものではなく、「支援する側の人の力をうまく引き出す力、態度やマナー」でもあるということ。
 すなわち、受援力は、「困っている自分」だけでなく、支援してくれる相手にとっても有益であり、この力を高めることではじめて、多くの人が一体となって物事に取り組んでいくことができるということです。

皆さんが、本日めでたく本校に入学できたのは、もちろん皆さん一人ひとりの努力の成果ですが、同時に、これまで皆さんを慈しみ育ててこられた、ご家族をはじめ、皆さんに関わりのある、すべての方々の愛情と力添えのおかげでもあります。 
 二月に行われたソチ・オリンピック/パラリンピックでも、ジャンプの葛西選手、高梨選手も、フィギュアスケートの浅田選手、羽生選手も、モーグルの上村選手も、ほとんどの選手が「支えてくれた、応援してくれたすべての人」に感謝の言葉を伝えていました。

 そして、支えた人たち、応援した人たちも大きな感動と元気をもらいました。
 彼ら、彼女らは、この「受援力」が高かったのだと思います。

 「自由と創造」「日新日進」そして「受援力」。皆さんが、この3つの言葉をしっかりと受け止め、その実現に努めてくれた時、高津高校は、さらなる進化を遂げることができるでしょう。

 さて、保護者の皆様、お子様が高校に入学され、「ホッと一息」と感じておられることと存じます。厳しい社会状況の中、深い愛情を持ち、お子様を育んでこられましたことに、あらためて敬意を表したいと思います。本当におめでとうございます。
 お子様のご入学を心よりお祝い申しあげますとともに、早速ですが、皆様に一つお願いがあります。
 保護者の皆様から、「もう高校生だから、子どもに任せます」というご意見を伺うことがあります。しかし、少子化や、行き過ぎと言われるほど社会全体のサービス化が進んでいく中で、今の高校生は、皆さんが高校生だった頃に比べて幼く、未熟です。
 あとしばらくは大人がきっちりと見守り、しっかりと導くことが必要です。「手は離しても、目は離さない」という姿勢をあらためてお願いしたいと思います。
 とりわけ、本校は、数ある大阪の高校の中でも、高い次元での「学力」と「人間力」の涵養という、まさに理想の実現に向けて取り組んでいる学校です。
 教職員一同、大切なお子様の成長を、優しくそして厳しく支えていきたいと切に望んでいますが、残念ながら、学校だけでは限界があり、保護者の皆様と学校が一体となって子どもたちとの関わりを深めることが不可欠です。

 PTA活動をはじめ様々な活動に積極的にご参加いただく中で、本校の教育方針にご理解を賜り、積極的な応援とご協力をいただきますとともに、お気づきの点やご意見・ご要望などがございましたら、忌憚なくお気軽にご相談いただければ幸いです。

 最後になりましたが、本日、ご多用中にも関わりませずご臨席を賜りましたご来賓の皆様におかれましては、本校が社会的存在としてその役割を全うし、今後さらに発展充実が叶いますよう、一層のご指導、ご支援をお願い申しあげ、入学式の式辞といたします。



平成二十六年四月八日

大阪府立高津高等学校 
校長 村田 徹


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