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2016.04.13 10:56 著名人卒業生シリーズ

著名人卒業生_第6回 – 森村 泰昌さん -【高校22期】

IMG_2462ss「著名人シリーズ」の第6回は、現在、中之島の国立国際美術館で、地元大阪の美術館では初めての個展を開催(4月5日~6月19日)されている、高校22期の森村泰昌さんにお願いしました。取材は個展がオープンした直後の4月6日に行われ、まさにホットな内容となりました。

個展テーマの『「私」と「わたし」が出会うとき』の意味は
・本展は、私がこれまで取り組んできた自画像の美術史の集大成とも言える構成になっています。1985年に京都のギャラリーで発表した《肖像(ゴッホ)》が高い評価をいただき、その後一貫して名画や20世紀の歴史上の有名人物に自らが扮するセルフ・ポートレートを手掛けてきました。
・「私」とはこれら作品に扮した人物であり、「わたし」とはパーソナルな自分を意味します。本展の基本的テーマは“自分とは何か”を見つめることにあります。画家たちにとって、一番近い存在なのに直接見ることができないのが自分であり「私」です。その自画像の「私」に、自らの「わたし」を出合わせることで、さまざまな見方が生まれると思っています。

今回の個展で特に工夫されたことは?
・個展は2部構成にしてあります。1部は「自画像の美術史」として130点の作品を全10章で展示しており、2部は「「私」と「わたし」が出会うとき」と言う映画で、第1部の作品に登場する12人自画像を約70分でまとめています。
・オープンするギリギリまで、1部と2部の製作・設営に謀殺されましたが、出来上がって見てベストな鑑賞方法に気づきました。それは、先ず1部を15分程で一覧していただき、次に2部の映画を見て、その残像がのこる状態で再度1部を見ていただく。これがベストでお勧めです。(笑)

個展は国立国際美術館以外にもあるとお聞きしましたが?IMG_2448ss
・そうです。今回の個展と関連して2つの展覧会が並行して開催されています。一つは『臨界の芸術論Ⅱ―10年の趣意書』と題して、先ほど紹介した映画製作の舞台セットや、私の作品の創作現場の名村造船跡地を会場として、展示や、対談、パーティー、クルージングツアーなどを実施します。
・もう一つは、『Our Sweet Home』と題して、4月3日に西成区でオープンしたばかりの「ココヤドヤ(略称)」と言う宿泊施設の一部をお借りし、釜ヶ﨑美術大学在学生の坂下範征さんとの個展を開催しています。

 なぜ釜ヶ崎なんですか
・これを話し始めると長くなるのですが…高校2年に遡ります。(笑)
・私は夕陽丘中学OBなんですが、高津に入学すると一つのカルチャーショックを受けることになります。と言うのは、中学校時代は丸刈りで規律厳しい環境だったのが、当時の高津は学生運動の影響で、マルクス・レーニン・毛沢東が飛び交っており、特に高校3年の4月にはヘルメット部隊までが校長室占拠するテンヤワンヤの状況でした。
・そんな影響があったのか、高校2年まで美術クラブで一人コツコツと印象派の絵を書いていたのが、ダンダンと「今の美術」に興味を持ちだすようになります。当時の20世紀を語る時に、ヒットラー、レーニン、アメリカを象徴するウオーホールなどは外せません。そこでレーニンと釜ヶ﨑が繋がってくるんです。(笑)

まだ良く分らないので、話を続けていただけますか
・レーニンのイメージは、やはり労働者階級を指導した思想家です。2007年に、そのレーニンが群衆を率いる写真を再現しようと製作を進めたんですが、レーニンを囲む群衆が必要です。しかし、美大の学生さんではどうも顔つきが違い悩んでいた時、釜ヶ﨑の方とのパイプができ、その人脈が今回の「ココヤドヤ(略称)」に繋がる訳です。(笑)
・当時、釜ヶ﨑は「怖い場所」であり「抑圧され社会」の象徴のような存在で、高校時代(1968年)には受け止められなかったレーニンを、40年が経過してようやく自分なりのレーニンを表現できるようになりました。
・私の一連の表現活動は、極端に言えば何十年も昔に撒いたタネが、時が経過して芽生えて花が咲くというようなことが多く、その意味で高津のカルチャーショックはとても良い刺激になっています。(笑)

■最後に、高津高校100周年記念事業について一言お願いします。IMG_2450ss
・コンセプトの「もっと自由に。もっと創造。」は、私の製作活動そのもののように思えます。ただ、「自由」・「創造」はたやすく実現できるものでは無いので、このコンセプトを如何に現役世代と共有できるかが、大きな課題のように思えます。

【取材後記】

・個展が開催される直前に取材を依頼したのですが、その忙しい最中に時間を調整して快諾いただきました。僅か1時間ではありましたが、海外での評価が高い現代美術家でありながら、終始、大阪弁での楽しい取材となりました。森村さんの今後の益々のご活躍とご健康をお祈ります。

                            取材日 2016.04.06

★☆展覧会の公式サイトは、こちら ➞http://morimura2016.com/

↓ 写真は、内覧会・オープニングレセプション(国立国際美術館)とパーティー(名村造船跡地会場)の様子

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